導入
読書を習慣にしたいと思って、ふと本を開いたときに、こんなことを考えたことはありませんか。
「この読み方で合っているのかな?」
「もっと効率よく読まないと損している気がする」
私もまったく同じです。今でも思います。
正直に言うと、私はずっと「本を読んでこなかった側の人間」です。学生時代も社会人になってからも、読書とはあまり縁がありませんでした。
いざ本を読み始めると、内容そのものよりも
「今の読み方は正しいのか」
「もっと速く、もっと多く読まないとダメなんじゃないか」
と頭の中がザワザワして、肝心の内容に集中できていない感覚がありました。
そんなモヤモヤを確かめたくて手に取ったのが、長倉顕太著の『本を読む人はうまくいく』です。
この本から学んだのは、
- 「今の時代でも読書に大きな価値があること」
- 「本を通じて、人間関係や世界とのつながりを広げられること」
- 「本の選び方と、読書を“自分の人生”に落とし込む考え方」
でした。
この記事では、読書初心者で「やり方がわからない」と感じている人や、人生を変えたいと思っている人に向けて、
- 日本人の読書の現状
- なぜ読書が続かないのか
- 『本を読む人はうまくいく』から学んだ、シンプルで続けやすい読書の実践ステップ
をまとめていきます。
目次
現状・課題の理解

日本人はどれくらい本を読んでいるのか
まず、「みんな本をどれくらい読んでいるのか」を数字で見てみます。
- 読書に関する調査では、半年で読む本が「1冊未満」という人が47.9%という結果が出ています。半年で2〜3冊読む人は15.3%程度で、全体としては本をあまり読まない傾向が強いことがわかります。
- 社会人向け調査では、月に1冊以上本を読む人は57.5%、3冊以上読む人は約24%というデータがありますが、一方で「全く読まない」層も40%前後存在しており、本を読む人と読まない人の差が大きくなっています。
- 読書量と年収の関係を分析した調査では、年収が高い層ほど「月3冊以上読む人」の割合が高く、読書量ゼロの割合は低いという傾向が確認されています。
数字だけを見ると、「本なんてほとんど読まない」という人も普通に多数派です。
だからこそ、読書を「ちゃんとやろう」とした瞬間に、やり方がわからず止まってしまう人が出てきます。
読書がもたらす健康・時間・お金・心理への影響
一方で、読書がもたらすメリットも、多くの研究で示されています。
- 認知機能・脳への効果
- 高齢者を対象とした研究では、読書などの知的活動に継続的に関わる人ほど、その後の認知機能の低下がゆるやかであることが報告されています。
- 子どもの頃から読書を楽しむ習慣のある人は、思春期以降に認知テストの成績やメンタルヘルスが良好であるという大規模調査もあります。
- メンタルヘルス・睡眠
- 読書はストレスの軽減や感情の整理に役立ち、フィクションを読むことで他者への共感力が高まりやすいことが心理学の研究で示されています。
- 就寝前の読書習慣は、睡眠の質向上や入眠しやすさにプラスの影響があるという報告があります。
- キャリア・お金
- 先ほど紹介したように、日本の大卒者を対象にした研究や、ビジネス系の調査でも、読書習慣がある人ほど年収が高い傾向があることが示されています。
これらを踏まえると、「読書をするかどうか」は、
健康・時間の使い方・お金・心の余裕にじわじわ効いてくる長期戦のテーマだとわかります。
原因分析・体験談
読書初心者がつまずく3つの罠
読書に挑戦してみようとしたとき、なぜ多くの人が挫折してしまうのでしょうか。
読書初心者ならではの「罠」を、心理学や行動経済学の視点も交えて整理してみます。
1. 「正しい読み方」を求めすぎる
- 「全部理解しないといけない」
- 「効率よく読まないと時間の無駄になる」
こういった考えは、一見ストイックですが、実は完璧主義によるブレーキです。
行動経済学でいう「現在バイアス(今すぐの負担を過大評価してしまう傾向)」が働き、「ちゃんと読まなきゃ」と思うほど、本を開くハードルが上がります。
2. 「すぐ役に立つ本」だけを求めてしまう
「この1冊で人生が変わる」系のタイトルについ惹かれてしまうのは、人間として自然な反応です。
でも、短期的な“即効薬”ばかりを求めると、じわじわ効いてくる教養の本や、考え方を深める本から離れてしまうことがあります。
3. 読んだことをアウトプットしない
多くの人は、本を読んだあとに
- メモを取らない
- 誰かに話さない
- 自分の行動に結びつけない
という状態になりがちです。
『本を読む人はうまくいく』でも、読書を“インプットで終わらせないこと”の重要性が繰り返し強調されています。
『本を読む人はうまくいく』を読んで変わった、私の読書観
私はもともと、読書しているときに、『この読み方で合っている?』『もっと効率よく読めるはず』と考えてしまい、集中が分散していたというタイプでした。
本を開いても、目線は文字を追っているのに、頭の中は読書そのものの評価でいっぱいになっていました。
『本を読む人はうまくいく』を読んで印象的だったのは、著者が
- 読書は「頭を良くするため」だけでなく、人生の攻略法や戦略を学ぶためのツールであること
- 読書は、今いる環境の外側の考え方や価値観に触れるための“窓”であること
- 成果を出す人は、目的に応じた本の選び方と、読んだ後のアクションプランを持っていること
を、自身の経験を交えながら整理していた点です。
この本を読んでから、私の中で読書は
- 「正しく読めているか?」を確認するテスト
↓ - 「本を通じて、自分の考え方や行動を1ミリでも変えるための時間」
に変わりました。
その結果、
- 1ページも理解できないと焦るより、1冊につき1つ行動を変えるほうが大事だと感じるようになり、
- 読むスピードよりも、「読んだ後、何をするか」に意識が向くようになりました。
解決策と実践ステップ
ここからは、『本を読む人はうまくいく』のエッセンスと、私自身の実践を合わせて、今日から試せる読書のステップをまとめます。
Step1:読書の「目的」を1つだけ決める
まず、1冊を開く前に「この本を読む目的」を1つだけ決めるところから始めます。
例としては、
- 最適な「休日」の過ごし方は?
- 時間の管理の仕方を学びたい
- 働き方について視野を広げたい
など、なんでも構いません。
『本を読む人はうまくいく』でも、読書をただの知識集めではなく、人生戦略や思考の土台をアップデートするための行動として位置づけています。
目的が1つあるだけで、
- すべてを理解しようとしなくてよくなる
- 「この本から、その目的に関連する部分だけを拾えばいい」と割り切れる
ようになります。
Step2:本の選び方を「3つの軸」で決める
次に大事なのは、本の選び方です。
本書でも、成果を出す人の選書術が1つのテーマになっています。
私が実際に取り入れているのは、次の「3つの軸」です。
- 課題軸(今の悩みから選ぶ)
- 例:お金/仕事のストレス/人間関係/習慣づくり など
- 今抱えている不安やモヤモヤから逆算して選ぶ本
- 憧れ軸(なりたい自分から選ぶ)
- 例:フリーランス/自由な考え方/ミニマリスト など
- 「こうなれたらいいな」と思う人のおすすめ本や、関連する分野の本
- 教養軸(将来効いてくる基礎体力として選ぶ)
- 例:哲学/心理学/経済/科学 など
- すぐに役立たなくても、「人間や社会の見え方」を広げてくれる本
この3つの軸から、それぞれ1冊ずつ選んでおくと、
その日の気分に合わせて
- しんどいときは「憧れ軸」
- 元気なときは「教養軸」
- 困っているときは「課題軸」
と読み分けることができます。
Step3:「全部読まなくていい」読み方に切り替える
読書初心者がつまずきやすいポイントの1つが、
「最初から最後まで、全部きっちり読まないといけない」
という思い込みです。
『本を読む人はうまくいく』では、読書を続けるための工夫として、
- 自分に合わない本は途中で手放しても良い
- 重要だと思った章を中心に読む
- 1冊にこだわりすぎず、複数冊を行き来する
といった、柔らかい読み方が紹介されています。
ここでは、シンプルに次のルールを採用してみてください。
- ルール1:読む前に「この本から得たい知識」を一つ書き出す
- ルール2:目次を見て、気になる章から読んでいい
- ルール3:わからないところは一旦飛ばしてOK
大事なのは、「1冊コンプリートすること」ではなく、
「自分の人生に1つでも使えるヒントを持ち帰ること」です。
Step4:1冊1アクションのアウトプット習慣をつくる
『本を読む人はうまくいく』の核心の1つは、
読書はインプットではなく、アウトプットのために行うべき
という考え方です。
ここでは、誰でもできる「1冊1アクション」のアウトプット習慣を紹介します。
1冊読み終えたら、次の3つを行なってみてください
- 一言でまとめる
- 例:「この本は、読書を通じて人生の戦略をアップデートする方法を教えてくれた」
- 心に残ったポイントを3つだけ箇条書きにする
- 例:「本の選び方の3つの軸」「読書はアウトプット前提」「読書で人間関係も変えられる」
- 明日からやることを1つ決める
- 例:「朝起きたら10分だけ読書時間を確保する」
- 例:「通勤の最初の5分はスマホを見ずに本を開く」
この3つをノートやメモアプリに残しておくだけで、
本の内容が記憶に残りやすくなり、読書が現実の行動に届きやすくなります。
Step5:読書サービスや仲間を味方にする
1人で読もうとすると挫折しがちな人は、サービスやコミュニティの力を借りるのも有効です。
- 要約サービスで、まず要点だけを把握してから読み始める
- オンラインの読書会やX(旧Twitter)、ブログなどで、「この本を読んだ」と発信する
- 誰かと同じ本を読み、感想を交換する
『本を読む人はうまくいく』でも、本を通じて人間関係が広がることや、著者・推薦者との「間接的な対話」として読書を捉える視点が語られています。
読書は、1人で黙々とやるもののように見えて、
実は「本を中心にしたゆるい人間関係」がついてくる行為でもあります。
チェックリスト
読書初心者のためのチェックリスト
- 読書をする前に「この本から得たい知識」を1つ、自分の言葉で書き出す
- 課題軸・憧れ軸・教養軸から、それぞれ1冊ずつ候補を挙げた
- 1冊読み終えたら、「1行まとめ+3つのポイント+1アクション」をメモすることにした
- 読書用の時間帯(朝/通勤/寝る前など)10〜20分を予定に入れた
専門情報・一次情報の引用
この記事で扱ったテーマに関連する、主な一次情報・専門情報を整理します。
- 『本を読む人はうまくいく』の基本情報と構成
- 長倉顕太『本を読む人はうまくいく』。読書がもたらす思考力・頭の柔らかさ・人間関係への効果、成果を出す人の選書術、読書体質になるためのアクションプランなどが体系的にまとめられている。
- 日本人の読書習慣の実態
- 2023年の読書調査では、「半年に読む本が1冊未満」が47.9%で最多となり、全体として本をあまり読まない傾向が確認されている。
- 社会人調査では、「月1冊以上読む」人は57.5%、一方で月0冊という本離れ層も約4割存在する。
- 読書習慣と収入の関係
- 読書量と年収の相関を分析した調査では、年収1,500万円以上の層で「月3冊以上読む人」が30%前後と最も多く、読書を全くしない層の割合は低い。全体として「高年収層ほど読書習慣を維持している」傾向が示されている。
- 読書の認知機能・メンタルヘルスへの効果
- 高齢者の追跡研究では、読書などの知的活動に積極的に関わる人ほど、後年の認知機能の低下が緩やかであることが示されている。
- 子どもの頃から読書を楽しむ習慣がある人は、思春期以降の認知テストの成績やメンタルヘルスが良好だとする大規模研究も報告されている。
- 読書はストレス軽減・共感力向上・睡眠の質改善など、メンタル面でのメリットも多くの心理学・健康関連の論文や解説で言及されている。
- 要約サービスや読書支援サービス
- 本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソン向けに書籍のポイントを短時間で把握できるよう要約を提供しており、読書の入り口や補助ツールとして活用されている。
まとめ
要点の整理
- 現代の日本では、「半年に1冊も本を読まない」人が約半数に達しており、本を読む人と読まない人の差が広がっています。
- 一方で、研究や調査からは、読書習慣が認知機能・メンタルヘルス・収入などに良い影響を与える傾向がはっきり示されています。
- 『本を読む人はうまくいく』は、読書の価値・本の選び方・アウトプット前提の読み方を通じて、「読書初心者でも読書体質になれる道筋」を示してくれる一冊です。
今日からできる具体的な一歩
- 「この本を読むにあたっての学びたいこと」を1行で書く
- 今の自分の課題から、1冊だけ本を選ぶ(完璧な1冊でなくて大丈夫です)
- 読み終えたら、「1行サマリー+3つのポイント+1アクション」をメモに残す
この3つだけでも、読書は「なんとなく良さそうな習慣」から
「人生をじわじわ変えていく具体的な行動」に変わっていきます。
読者へのメッセージ
私は、読書とは無縁の人生を長く歩いてきた側の人間でした。
そんな私でも、『本を読む人はうまくいく』をきっかけに、
- 読書に“正解の読み方”はなくていいこと
- 読むスピードよりも、「どう生き方に反映するか」が大事なこと
- 本は、静かな場所で人生の相談に乗ってくれる「もう1人の先輩」のような存在であること
を実感し始めています。
もし今、「読書のやり方がわからない」「人生を変えたいけれど、何から始めたらいいかわからない」と感じているなら、
1冊目の相棒として『本を読む人はうまくいく』を読んでみること自体が、すでに人生の一歩目です。
ページをめくるたびに、少しずつ自分が書き換わっていく感覚を、ぜひ一緒に味わっていきましょう。
参考文献
『本を読む人はうまくいく』


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