導入
正直に言うと、私は投資をやろうと決めてからも長いこと始められませんでした。理由はお金の余裕がないこと…だけじゃない。親も友人も同僚も上司も、誰も投資していなかったから。「やってる人がいない=危ないこと」という同調圧力に飲まれていたんです。
それでも今はインデックス投資を毎月1万円だけスタートして3か月継続中。この“ほんの少し”が、借金返済のストレスに飲まれないメンタルの支えになり、使いすぎ防止の行動アンカーにもなっています。今日は、借金があっても少額投資を続ける合理的な理由と進め方を、数字と心理学で整理します。
一般論の注意:本記事は情報提供であり、特定商品の勧誘ではありません。投資は元本割れリスクがあります。高金利の借入は原則優先返済が合理的ですが、少額の“習慣投資”を併用するかは各自の事情で判断してください。
目次
- 1:現状と課題(日本の「貯金偏重」と借入の金利)
- 2:原因分析と僕の失敗談
- 3:解決策と実践ステップ(5ステップ)
- 目的を定義
- 現状の棚卸
- 仕組み(新NISAなど)+金利の確認
- 設計(返済>投資の比率)
- 自動化と点検
- 表:残す/減らす/不要かも(判断例)
- 4:ケーススタディ(仮名Sさん)
- 5:心理学の活用(損失回避/サンクコスト/確証バイアス)
- 6:チェックリスト・行動計画
- まとめ
- 参考・出典
1:現状と課題(日本の「貯金偏重」と借入の金利)
日本は依然“貯金が主役”、投資は少数派
家計の金融行動調査(金融広報中央委員会)では、日本の家計は今なお預貯金比率が高く、リスク資産(投資信託・株式等)の保有が相対的に低い構造が映ります。若年層を中心に投資志向は高まりつつあるものの、全体では“現金・預貯金重視”の傾向が根強い、というのが政府年次報告の認識です。
私たちの世代は、親から投資を体系的に教わる機会がほとんどありませんでした。親や祖父母の一部は、高度成長期の高金利を経験し、「預金でもお金が増えた」手応えを持っています。そこから“投資=ギャンブル”という印象が生まれるのも自然です。けれど今は低金利・長寿社会。「貯金だけで増やす」再現性は低い。だからこそ、短期の投機とは違う、長期・分散・低コストの投資を学ぶ価値があります。
借入の金利は「15〜20%」が上限ゾーン
貸金業者の上限金利は、貸付額により年15〜20%(利息制限法)。出資法の上限金利は年20%で、これを超えると刑事罰の対象。ショッピングのリボ手数料は年約15%が一般的です。つまり借金の“放置利回り”は二桁になりやすい。
リボ払いや高金利の借入は、いわば“逆向きの複利”で時間とともに負担がふくらみます。月々の支払いの多くが利息に消え、元本がなかなか減らないからです。最善は借金をしないこと。やむを得て使う場合でも「次の給料日に完済できる範囲」に限定し、一括・繰上げ返済を前提にしてください。
一方で投資の“期待”は不確実
長期・分散の世界株インデックスは年ごとの上下が大きく、長期の平均を意識しても、将来は不確実です。上がる年も下がる年もある——この事実を前提に設計します。
2:原因分析と私の失敗談
なぜ始められなかったのか
- 損失回避:お金が減る痛みを強く恐れて、ゼロリスクの“貯金のみ”に寄せがち。
- 同調圧力(社会的証明):「周りがやっていない=やらなくていい」という思考停止。
- 現状維持バイアス:「今のやり方を変えるのが不安」。口座開設や設定が“面倒”に感じる。
私の時系列
- 投資を決意するが、周囲に実践者ゼロ→先延ばし。
- 借金返済の不安で、余剰は常に薄い(ほぼナシ)。
- 毎月1万円だけインデックス投資を開始(3か月継続)。
- 「使いすぎそうな日も先に1万円を“未来の自分”へ」で、散財ブレーキがかかる。
- 金利の高い借入は繰上げ返済優先、それでも少額投資は継続で“行動の芯”を作る。
3:解決策と実践ステップ
ステップ1|目的を定義(守りと攻めを一文で)
例)「金利15%の借入を最速で減らしつつ、投資の“習慣”だけは切らない」。
この一文が支出判断のコンパスになります。
ステップ2|現状の棚卸(キャッシュフロー+金利)
- 借入の残高/金利/毎月返済額を一覧化。
- 生活費を固定費・変動費に分け、減らせる固定費(使っていないサブスクなど)を削る。
- 投資に回せる余剰を1,000〜10,000円単位で仮置き。
ステップ3|仕組みの確認(制度・口座・商品)
- 新NISAは生涯非課税の保有限度額1,800万。つみたて枠と成長投資枠の合計で、売却すれば枠が翌年以降に復活する仕組み。金融機関は枠ごとに分けて利用不可(同一金融機関で利用)など、実務ルールも事前に確認。
- 商品は長期・分散・低コストが王道。とはいえ短期での上振れ・下振れは普通に起きる点を受け入れる。
ステップ4|二刀流の設計(返済:投資=“8:2”など)
- 原則:金利が二桁の借入は“確定利回り”で重いので、返済を優先。たとえば毎月の余剰2万円なら返済1.6万/投資4千(8:2)のように比率を決める。
- 数値例(返済の効果)
- 借入110万円・年15%に対し、月2.5万円返済だと約65か月・利息約50.7万円。
- ここに+1万円(計3.5万円)上乗せすると約41か月・利息約30.6万円。利息は約20.1万円削減、期間は約2年短縮。
- 数値例(投資の積み上がり;年4%想定の単純試算)
- 毎月1万円×10年 ≒ 約147万円(元本120万円・評価益約27万円)
- 毎月1万円×20年 ≒ 約367万円(元本240万円・評価益約127万円)
注:将来のリターンは不確実。あくまで定率運用の机上試算の一例です。年率は実際に大きく上下します。
ステップ5|自動化と点検
- 給与日の翌営業日に自動積立(新NISAつみたて枠)+自動振替で繰上げ返済。
- 3か月に一度、家計簿と残高・金利を点検。金利の高い借入を繰り上げつつ、投資の最低額は死守して“習慣を守る”。
表:残す/減らす/不要かも(判断例)
| 項目 | 残す(価値高い) | 減らす(頻度/額) | 不要かも(置き換え) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 新NISAの毎月積立1万円 | ✅ | 習慣維持・自動化。将来は増額余地あり。 | ||
| 金利二桁の借入の繰上げ返済 | ✅ | “確定”で利息削減効果が大。 | ||
| 使っていない月額サブスク | ✅ | まずはここから削る。 | ||
| 週末の高コスト娯楽 | ✅ | ❌ | 代替:無料の運動・図書館・自炊。 | |
| 現金だけでの長期運用 | ❌ | インフレ耐性が弱い。分散投資を一部導入。 |
4:ケーススタディ
- 属性:30代後半・会社員、借入残高110万円(リボ換算年15%)、余剰は月2万円
- Before:投資ゼロ。返済2.5万円/月のみ。完済65か月(約5年)、利息約50.7万円見込み。
- Plan(二刀流):返済1.6万円/投資4千円(8:2)。ボーナス時は返済に上乗せ。
- 途中変更(昇給後):返済2万円/投資1万円へ比率変更。
- After(想定):返済の前倒しで約24か月短縮、利息約20万円削減。投資は毎月1万円×10年で約147万円の“資産のタネ”を育成(年4%単純試算、将来不確実)。
心理面では、“投資ゼロの空白感”が解消。返済だけの生活よりも未来志向の行動が続きやすく、浪費の抑制(自制)にも寄与。
5:心理学の活用(損失回避/サンクコスト/確証バイアス)
- サンクコスト:すでに払った費用に縛られがち。
→ リボ手数料を取り戻すためにさらに利用するのはNG。未来基準で「使わない」選択へ。 - 損失回避:人は同額の得より損を強く嫌う。
→ 「借金を放置したときの“確定損”=利息」を見える化。月次の利息額を家計簿の“赤字欄”に記録して、返済のモチベを上げる。 - 確証バイアス:自分に都合のよい情報だけ集めがち。
→ 長期インデックスの良い年・悪い年両方のデータに触れる習慣を。“平均”は蛇行の結果だと理解する。
6:チェックリスト・行動計画
- 借入の残高・金利・毎月返済額を一覧化。
- 余剰資金を返済:投資=8:2などで暫定配分。
- 新NISAの自動積立を毎月1万円に設定。
- 繰上げ返済の自動振替を設定(給与翌営業日に引落)。
- 3か月ごとに比率を見直し(収入・金利・メンタルの状態で調整)。
- サブスク等の固定費を2件以上解約して返済原資へ。
- 口座・アプリは1画面で見える化(残高と積立状況を毎週チェック)。
まとめ
- 借金の金利は“確定利回り”で重い。まずはそこを削るのが合理的。
- でも、投資ゼロだと“将来に繋がる行動”が育たない。
- 返済優先の二刀流で、最低額の投資習慣は切らない。数字が小さくても、「未来の自分に先に払う」という行動そのものが、浪費の抑制とメンタルの安定に効く。
- 今できる一歩はシンプルです。自動積立1万円+高金利借入への繰上げ1万円を、今週中にスイッチオン。
参考・出典
『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』

『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』


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